「単刀直入に言うけど、ゆっこが小泉さんに会いたがってる」

「えっ」


ゆっこが?

ゆっことは、あれから卒業までの間、一度も言葉を交わしてはいない。



「俺さ、今、ゆっこと付き合ってんだ。それで俺と小泉さんが同じ高校だって知って、ゆっこが」

「やめてよ!」


私の大声が、静まり返った廊下に響く。

それでも竹田くんは何か言おうとしていたが、しかし私はそれを遮った。



「竹田くんとゆっこが付き合ってるからって何? 昔の話で盛り上がって、私のこと思い出した? それで話のネタに会いたいとでも思った?」

「………」

「勘弁してよ。迷惑なの。何でわかってくんないの? もう1年も前のことじゃん。中学の時のことじゃん。私はね、あの頃のことなんて忘れてしまいたいの」


一気に言って、肩で息をする。

私は最後に竹田くんを睨んだ。



「悪いけど、私、今、付き合ってる人がいるの。その人と幸せになりたいから、ゆっことも、誰とも会いたくはないの」


はっきりと言い、私は竹田くんを残して、ひとり足を踏み出した。