「リナの過去に何があったのか、俺は知らない。だけど、不安なことがあるなら、全部言ってよ。そんなの、俺が全部、蹴散らすからさ」


遼の真っ直ぐな目は、私だけを映していた。

嘘も、偽りも、隠しごとも何もない瞳。



「好きなんだ」


はっきりと言った遼から、私は目を逸らせなかった。



「俺は絶対にリナを傷付けない。幸せにしたいって思ってる。だから、付き合ってほしい」


私を好きでいてくれる人。

私に『幸福』をくれる人。


遼と一緒なら。



「よろしくお願いします」


気付けば言葉は溢れていた。

遼は一瞬、ぽかんとして、遅れて「え?」と声を出すが。



「私も遼と付き合いたいです。よろしくお願いします」


鳥が飛ぶ。

風が舞う。


あの日以来、ずっとモノクロームだった私の世界が、淡く色付いた瞬間だった。