帰り道は、遼と、たくさん映画の話をした。

何の作品がおもしろいか、どの監督がすごいかと、話せば話すほど、好みが同じだと驚いた。


私は約束通り、駅まで送ってもらった。



「ありがとね。じゃあ、私こっちだから」


言って、きびすを返そうとした私を、遼が呼び止めた。



「リナ!」

「……何?」

「あのさ、よかったら番号教えてよ」


番号。

そういえば、みんなで遊ぼうとか何とか、あさひに言っていたらしいけれど。



「こういう時に聞かれたら、断れないんだけど」

「うん。だと思って聞いた」


無邪気な顔して、バカではないらしい。

だけど、不思議と嫌だとは思わなかったし、もっと遼と話してみたいと思っている自分がいることも確かだった。


ため息混じりに私はスマホを取り出し、自分の番号を読み上げた。