ガードレールに寄り掛かった私に、あさひは聞いてきた。



「これからどうする? どっか入る?」

「悪いけど、私もうそろそろ帰らなきゃ」


時刻を確認していた時、「あさひ?」と、男の声がした。

私とあさひが同時に顔を上げると、笑顔の茶髪が近付いてきた。



「わっ! 遼じゃん! 久しぶりー! 元気だったー? てか、あんたこんなとこで何してんのー?」

「お前こそだろ。春休みにみんなで集まった時以来じゃんよぉ」


友達だろうか。

思わずいぶかしげな顔をしてしまった私に気付いたあさひが、慌てて紹介してくれた。



「これ、同中だった遼」

「どうもー。船橋 遼でーす」


あまりのノリの軽さに私は思いっきり引いてしまったが、しかし遼と名乗った彼は、そんなの気にしない。



「あさひの友達? なぁ、名前は?」

「リナだよー」


もちろん答えたのは私ではなくあさひなのだが、この状況についていけない私は、もう勝手にやってくれという感じだった。



「ごめん。電車の時間があるから帰るわ」

「ちょっ、リナ!?」

「じゃあね」


言うが先か、私は歩き出す。


あさひの友達だからあまり言いたくはないが、チャラチャラした男は苦手だ。

だから私はさっさと逃げたのだった。