「今から晩ご飯を」

「いいよ、いいよ。私が作るから、おばあちゃんは寝ててよ」


祖母の体を倒そうとしたが、「リナちゃん」と、制された。

祖母はまた咳込みながら、くぼんだ目で私の顔を見る。



「ごめんねぇ、リナちゃん。こんな老いぼれの所為で」


私は強く首を振る。



「そんなこと思ってないよ」


祖母の背中をさすり続ける。

小さな小さなその背中を。



「私の方こそごめんね、おばあちゃん。私の所為で、ご近所さんたちにも色々言われてるでしょ? たくさん迷惑かけてるよね」


祖母は泣いていた。



「リナちゃんは自由に生きればいいんだよ。辛い経験をした分、これからは自分が笑顔になれる道を選べばいいんだからね。リナちゃんが選んだ道が正しい道なんだから、謝ることなんてないんだよ」


泣けない私の代わりに、祖母はいつも泣いている。

小さな小さな背中を丸めて。