晴人の両親が離婚したとろこで、私の毎日は何も変わらない。
部屋のカーテンは閉めたまま。
あの日以来、私は一度もそれを開けたことがない。
「おかえり、リナちゃん。今日、終業式だったんだろう? どうだった?」
「別に普通だってば」
言いながら、祖母に通知表を手渡した。
祖母は、ケーキを焼いていた手を止め、受け取った通知表に目を落とす。
「すごいねぇ。成績、上がってるじゃないか」
勉強以外にすることがないのだから、当然だ。
あれから、無心で机に向かっていた私のテストの結果は、学年で10番以内にまでなっていた。
「じゃあ、今晩は、クリスマスも兼ねて、お祝いしなきゃねぇ」
その時、外から、隣の家の門扉を開閉する音が聞こえてきた。
どうやら晴人が帰ってきたらしい。
晴人は、両親が離婚しても、今も普通に我が家の隣で暮らしている。
名字だって変わってないみたいだし。
だから最近じゃあ、近所の噂話が本当だったのかすら怪しく思う。
噂があてにならないことなんて、私自身が一番よくわかっていた。
だけど、噂以外に晴人のことを知る術はない。
「リナちゃん? どうしたんだい?」
「何でもない。着替えてくるね」
私はそれだけ言って、自室に向かった。
噂が嘘でも本当でも、私にとってはもう、どちらでも同じなのだから。


