「ねぇ、愛奈。あたしはみんなで仲良くしたい。確かに昔からカスミちゃんは女王様みたいな振る舞いをするし、敵をつくる性格ではあると思うよ。先生に足をかけて転ばせたことは最低な行為だと思う。でも、いいところだってきっとあると思う。愛奈は嫌いだと思うけど志穂ちゃんだってそう。ちゃんと話せばきっと分かり合える」

その言葉はわたしの気持ちを逆なでした。胸の奥底から怒りが沸き上がってくる。

「カスミちゃんのいいところ……?真紀には悪いけどわたしには何も思いつかない。真紀は昔から優しすぎるんだよ!」

「優しくなんてない。それを言ったらあたしなんかより愛奈の方がずっとずっと優しいでしょ?」

そう言って微笑んだ真紀に耐えられなくなったわたしはお弁当のフタを勢いよく閉めた。

「ごめん。さっき先生に呼ばれてたの思い出したから先行くね」

とっさにそんな言い訳をして真紀に背中を向けて歩き出した。

わたしの気持ち理解せずお門違いなことを言う真紀に正直わたしはイラついていた。

昔からそうだ。真紀は昔からこういうところがあった。