僕は家のドアをノックすることなく勢いよく開ける。突然の訪問者にリリーの家族も、リリー自身も驚いていた。

「アレン……?」

そう呟くリリーの体や顔には傷があって、目には涙があった。もう絶対に傷付けさせない。僕はリリーの腕を掴む。

「行こう。僕が君を自由にしに来た」

呆然としていたリリーの家族が「人狼だ!!化け物だ!!」と騒ぎ始める。想像できていたことだけど、実際に言われるとキツいな……。

「そんなこと言わないで!!」

リリーが怒りを目に浮かべ、立ち上がる。リリーが怒鳴ったことにリリーの家族は驚いていた。その隙に僕はリリーの手を引いて家を飛び出す。そして森の中へと走り出した。

「アレン、アレンは……」

手をつないだまま、リリーが僕に訊ねる。僕は「人狼だよ」と微笑んだ。怖くなんてない。だってリリーが怖がってないってさっきの出来事でよくわかったから。

「……これからどうしよう」

不安げにリリーが訊ねる。僕は「一緒に暮らさない?」とリリーに微笑んだ。

今はまだ好きとは言えない。でも、人狼の僕を受け入れてくれた君への想いは諦めたくないから……。