私「……ふぅ。」
渡邉「終わったかー?」
ふと顔を上げると、カフェオレを持った上司の渡邉先輩が私のことを見下ろしていた。
私「はい!確認お願いします!」
渡邉「おうー、ちょっと休憩してきな?」
カフェオレを机に置くと、渡邉先輩は私のデスクに座って、確認をし始めた。
渡邉「あ、確認時間かかるし、煙行ってきてもいーよ?」
私「あ、はい!」
割とヘビースモーカーな私を気遣ってくれてるのか、渡邉先輩はちょくちょくタバコ休憩の許可をくれる。
昔お父さんが吸っていて、カッコよくて、ふと匂いが懐かしくなって、吸い始めた。
臭いのは嫌だけど、タバコを吸い始めて親との会話も増えた。
一概に良いとは言えないけど、私の家庭事情にとってはよかったみたいで…。
ガチャ
姉岩「珍しーな」
私「わっ、!」
喫煙所に行くと、姉岩が居た。
あまり遭遇することは無いけど、同じ年代の人は割と喫煙所に集まる。
先輩の愚痴を言う人もいるけど、それだけではなく、20代にとっては人気のテラス。
お洒落なのと、風も通るのでタバコを吸う人以外にも、目覚ましに空気を吸いに来る人もいる。
姉岩「忙しそうだったけど、仕事どう?」
私「えっ…あーえっと」
姉岩から話しかけられることは少ないのでテンパるのは、当然。
しかも、喫煙所で話しかけられたの初めて?!
姉岩「なに?」
私が感動しているのと裏腹に、姉岩は相変わらずの無表情でこっちを見る。
会話が続かないーーー。
少し俯いて悩んでいると、ふわっと風が吹く。
気持ちよくてふと顔を上げると、目の前に姉岩の顔が…?!
私「あ、わ!えっと、せせ先輩がいま確認を!」
自分でも脈絡のない話に姉岩は少し離れる。
姉岩「あ、ごめん、ちょっと近かった」
スっと距離を置いていく姉岩。
テンパったのが良くなかったのかな?
表情ひとつ変えずにサラッと離れる姉岩をかっこいいと思う反面、少しガッカリしてしまう。