あるところに、ベルという名前の美しい娘がいました。商人の父と三人の兄、二人の姉と暮らしていましたが、ベルは贅沢好きな二人の姉から美しさを妬まれていました。

一家は父のおかげで裕福でしたが、ある日父が商売に失敗し、一家は田舎へ引っ越すことになります。

ベルと三人の兄と父親は懸命に働きますが、二人の姉は「昔はもっと贅沢できたのに……」と言いちっとも働きません。

そんな日々を過ごすうちに、ベルたちの家に父の商品を積んだ船が港についたという知らせがもたらされます。

街へ出かけることが決まった父親に、二人の姉は「豪華なものがほしい!」と頼みます。何も言わないベルを見て、父は「お前は何がほしい?」と訊ねました。

「この田舎では咲かないから、一輪のバラの花がほしい」

請け負った父親は街へ出かけたのですが、その帰り道に森の中で迷ってしまいます。しかし目の前に屋敷が現れ、父親は無人の屋敷で食事や寝床を与えてもらい、一夜を過ごしました。