チャーリーの住む街には、不思議な言い伝えがある。それは、大切な人の命日に街外れの古びた館に大切な人の宝物を持っていくとその人に会えるというもの。

チャーリーはそんな言い伝えなどあるはずがないと思って生きてきた。やがて、その言い伝えを忘れてしまっていた。

恋人のシンディが病気で天国へ旅立つまではーーー。



「今日、シンディに会えるんだ……」

朝からチャーリーは胸を弾ませ、まるで恋の始まりのように浮かれていた。シンディを想って泣いていた日々が嘘のようだ。

シンディを失ってから早三年。チャーリーはシンディの命日には必ず訪れるところがある。

朝はシンディのお墓参りに行く。シンディのお墓にいつもより豪華な花束を贈るのだ。今年はストックの花束を贈った。花言葉は「愛の絆」、「豊かな愛」、「永遠の恋」だ。

「……やっと君に会えるね」

チャーリーがそう言い微笑むと、「チャーリー!今年も来てくれたのね」と声をかけられた。振り向くと、エプロンをつけた女性が微笑んでいる。シンディの母だ。