「熱出した?」

「らしいよー、
珍しいよなあ」


拍子抜けした。
普結くんは熱を出してお休みらしい。

口を尖らせた鈴木が、普結くんの机に何故か我が物顔で座っている。


「なんであんたここに居るのよ」

「普結の代わりしようと思って、今日一日」

「無理にも程がある」

「やっぱり?」


つまんねえな、と頬を膨らます鈴木の顔を見ながら、
心のどこかで安心していた。



…気まずかったから助かった。


違う、気まずいとかじゃない。

普結くんを怒らせたこと、実際に会って普結くんに突きつけられたくなかっただけ。


現実を見たくなかっただけだ。

だからほっとした。


自分から余計なこと言って怒らせたのに、
最低だ、あたし。