翌朝。

あたしの足取りは死ぬほど重かった。


学校への通い慣れた道が、
知らない景色のように見える。


一睡も出来なかった目には立派なクマ、顔はむくんでパンパン。
普通の日だってこんな顔で学校に行くなんて嫌に決まってるのに、

今日は普通の日じゃない。


昨日普結くんを怒らせてしまった。


しかも彼は隣の席、
嫌でも顔を合わせてしまう。


…ああ、休みたい。

今朝から何度思っただろう。


うちの母親が理由なく休ませてくれるはずもなく、重い足を引きずって登校してる訳だけど。


「あれ、桃?
おはよ。珍しいわねこの時間に登校なんて」

「あ、リエちゃん…おはよ…」

「…クマ」

「今日はクマつけて登校したい気分だったんだよね〜あはは」


苦しすぎる言い訳をしながらなんとか校門をくぐる。

ついにたどり着いてしまった。


どんな顔してるかな、普結くん。


もしかしたら口きいてくれないかも。
無視されたら本当に心臓止まりそう。