今すぐ普結くんの頭の中を切り開いて何を考えているのか見てみたい、なんて物騒なことを考えている自分がいる。


普結くんの特別と、あたしにとっての特別。


もちろん違う人間だから、きっと捉え方に違いはある。

その違いがこんなにももどかしいなんて、
思ってもみなかった。



「…なに?」

「え?」

「なんか見られてる気がした。
なんでだろ」


不意にかけられた言葉に心臓が跳ねる。
あたしの目はもちろんきちんと黒板に向けられて、普結くんのことなんか見てない。


…考えてはいたけど。


心の中を読まれたような感覚に、
じわりと汗をかいた。



「俺の気のせいだったみたい」

「…そうだよ」



前を向いたまま、平静を装って答えた。

内心動揺しっぱなしのあたしの心を見透かしたように、

ふっと笑ったような声が聞こえたけど知らないフリをした。