「大丈夫?」

「うん」

「……顔見せてよ」

「絶対イヤ」




かたくなに拒否するあたしにため息をついた普結くんは、ようやく教科書へと向き直ったみたいだった。


顔見せてよ、って

見せられる訳がない。


恐らく真っ赤になっているであろうあたしの顔は、
普結くんにだけは見られたくない。


シャーペンを握ってノートに向かうポーズで固まったまま、授業が終わった。