必死で笑いから気をそらそうと、
流れっぱなしだったホラー映画に集中しようとしたその時。


「……桃」

「っ、」

「桃。
………あとで覚えてろよ?」



低い声で名前を呼んだその顔が、
あまりにも恐ろしくて。


…あたしの苦手なものは、
普結くんのこの顔かもしれないな、なんて思った。






「…覚えてろよ、ってなにをするつもりで…」

「とりあえず俺のしたいこと全部する。拒否権なし」

「…………」



●普結くんニガテ。  【おわり】