「ちょっ、柚山くん!」

「まじごめん。
行くよ、八宏さん」


手を引かれたまま、ずるずると引きずられるようにして教室から出る。

笠原さんの悲鳴と鈴木の悲鳴、
クラスメイトたちの黄色い声。


いろんな声が混じって賑やかな教室を振り返りもせず、廊下を走った。






「………大丈夫?」

「大丈夫なわけ、…ない、」


握られたままの手に気を取られまくったあたしは心ここにあらずの状態で。

握られた手をちらちらと見てしまう。


意外と大きな手だなあ、なんて考えながら自然とにやつく顔を抑えられない。


「なんで笑ってんの?」

「え、別に…!」


見せ付けるようにしてさらに強く握られた手に、変な汗が噴き出してきた。