「頑張っても、いいかなあ…
期待して頑張って、ダメだったら辛くない?」

「俺は頑張らなくてダメだった時の方がずーーーーっと辛いです」


苦笑いして、鳴海くんはあたしの頭から手を離した。

鞄を肩にかけ直して前を向いたその背中の向こうに、夕焼けが広がっていた。



赤い髪がその光に反射して、
もっと赤く光っている。


「鳴海くんは赤い色が似合うね」

「ほんとですか?
嬉しいっす、これからもずーっと赤髪のままでいます俺!」

「ずっとは無理でしょ」


帰り道、
少しだけ軽くなった気持ちに前向きになれた気がした。