「あり?

普結、どしたの」

「…ハァ……」

「おいおいおい待て。
なんで俺の顔見るなりため息ついたんだ?普通逆だろ、喜ぶところよ?」


大袈裟に輝く金髪がやけに鬱陶しく感じる。

心が荒んでいる証拠なんだろうか。


「……なんか元気ないな?」

「うざ。変に勘繰らないでもらえますー?」

「いやいつも元気はないんだけどな普結は。
なんか今日は″元気がない″の種類が違うよーな…」


この男はいつもうるさくて馬鹿みたいなことばっかり喚いてるくせに、

やけに感が鋭いところがある。

野生のカンって奴なんだろうか。


なにもかも見透かされているような気がして居心地が悪い。

さりげなく目をそらすと、無理やり俺の顔を掴んで目を合わせてきた。


「…っ、何すんだよキモいっ…!」

「普結、どうした。
落ち込んでるな?大丈夫だぞ、普結は大丈夫だ」

「…なにが」

「たまに普結ってものすごく自分を否定するような目をしてる時があるから。
今その目をしてた」


不覚にもその言葉に、ぐっと喉をつまらせたような感覚に陥った。


「大丈夫。普結はきっと大丈夫だよ」



そう言ってへらりと笑った脳天気な顔を見ていると
本当になにもかも大丈夫な気がしてくる。