「あれ、さっき笠原さんの声しなかった?」


トイレから帰ってきたリエちゃんに曖昧な返事を返す。

そういえば応援団って、どんな感じなんだろう。


クラスの皆んなからの推薦で応援団に決まった時は、
この世の終わりのような絶望的な顔をしてたけど。


…練習行ってなかったりして。


ありえる、あの無気力無関心の彼のことなら。


「応援団、どんな感じなんだろうね…」

「なによ楽しみな訳?
なんだかんだ柚山のこと気になってんじゃない」

「いや楽しみなんじゃなくて不安なだけ…」


ちゃんとみんなの輪に入っていけるんだろうか。

また天邪鬼なこと言って、
みんなを困らせてるんじゃないんだろうか。


幼稚園児の息子を心配する母親のような心境に浸っていたあたしは、
背後の気配に気づくことができなかった。



「……どぉぉーーーーーーん!!!!!!!!」

「ギャーーーー!!なに?!」


背後から突然聞こえた奇声に反射的に悲鳴を上げる。

急いで振り向くと、相変わらずの派手さを保った金髪が目に飛び込んできた。