鳴海くんの大きな声は厄介なことにクラス中に響き渡っていて。

あからさまにどよめくクラスメイトたちはゴシップの香りに目がキラキラさせている。

鳴海くんとあたしの間に挟まるリエちゃんはぽかんと口を開けて固まったまま。



それから少し離れた普結くんには、

………目も向けられない。




「ちょちょちょっと何言ってんの?!
落ち着いてっ!あたしたちそもそも夏休み中一回も会って「もう限界っすよ。ちゃんと付き合ってください。好きです」


キャーッ、なんて黄色い声があちこちで聞こえた。

赤髪のイケメンが、地味な女に超告白している様子は噂のネタにはぴったりらしい。

クラスメイトたちはあたしたちを固唾を飲んで見守っていた。



「…ちょっとこっち来て、鳴海くんっ…!」


引っ張った手は案外すんなりとあたしのいうことに従って歩き出す。

教室から出た瞬間、
背後からはクラスメイトたちの賑やかな声が追いかけて来るように聞こえた。