「…え、

終わり?」

「何?なんか言った、桃」

「ごめんリエちゃん、ひとり言…」


夏休み直前の教室はどことなく落ち着きがなく、
いつも以上に騒がしい。

明日から夏休み、
なんだけど。



「普結、お前の成績表どうなってんの…?
なんでそんな″5″ばっかなの?」

「逆になんで″5″がひとつもないの鈴木くん。
奇跡なの?」

「俺が最後に″5″に匹敵する評価をとったのは小2の時だよ!」



″5″に匹敵する評価…。

ああ、″よくできました″ってやつか。


今日も今日とて騒がしい隣の席の会話を盗み聞きしてうなだれる。

昨日のは何だったんだろう。


…夢?

幻?


そう思ってしまうくらいには
普結くんはいつも通りだった。