そんな簡単にまた好きになんて…


軽い男か。

そうなってしまったか。


「手離して」

「えっ」


少しイラッとした。

やっぱり好きになるわけにはいかない。


でも、友達の前で、好きな子って宣言した。

いや、また口裏合わせ?

まああのカフェのマスターと口裏合わせしていたかは知らないが。


「ごめん調子乗った」


と、手を離してきた。

…嬉しかったくせに。

なんで私は…こうも素直になれないんだろう。


「柚妃に会えると思ったら、授業いつも以上に入ってこなくて…って、いつも理解してないでしょ、みたいな顔しないで」

「事実そうなんじゃないの」

「そうだけどさ!」


家に着く。

両親は仕事に行っていて、2人きり。


「おー!綺麗な家!部屋!」

「まあ…ハウスダストのアレルギーあるから、掃除機はこまめにかけてるよ」

「いいお嫁さんになりそうだね!俺が貰っちゃう!」

「はあ…」

「そんな迷惑そうな顔しないでよ」


迷惑そうな顔をしたわけではない。

怪訝な目を向けたのだ。

何言ってるんだこの人は、と。


「お茶とかお菓子持ってくるから、適当に座って待ってて」

「あ、うん。ありがと!」