「え、何言ってるの?あぐりちゃん、ホントに…」
ホントに、俺の考えは的中してしまったのか。
そんな不安を煽られた。
「お願いだから、離してください」
「離さない」
「離してください。先輩とはもう、会いません」
「やめてって…」
彼女の表情を見ていると、ふと、迷いがあるように見えた。
「俺のこと、本当に嫌い?」
「…嫌、い」
「だったら何で、そんなに悲しそうなの?」
安心させたくなって、少しだけ微笑んでしまった。
だけど彼女は、口をギュッと噤んでいる。
すると、突然彼女が俺の左手をバッと離し、校門の方へ走っていた。
「あぐりちゃん、待ってってば…!」
濡れるのも厭わないで、俺は彼女を追いかけ、腕を掴んだ。
「やだっ、離して…!」
そう必死で訴えながら、門の開け方を知っているのか、片手で器用に開けていた。
門を開けて、力一杯学校の外に出ようとするのを、俺は俺で必死に引き寄せる。
「待って…お願い…」
「もうやめてっ!」
あぐりちゃんに勢いよく振り払われて、俺の体が門にぶつかる。
「いっ…!」
彼女は振り返らずに走って行ってしまった。



