俺の声に反応した彼女は、戸惑ったような表情を浮かべながらも、立ち止まって振り返ってくれた。
気付けば、名前で呼んでいた。
近付きたいと思ってるから、無意識にそうしたんだろう。
「えっと…?」
「学校、嫌い?」
「…好きではない、です」
遠慮がちな声でそう答えた。
「俺と喋りに来てよ」
「先輩、と?」
「そう。…俺、休み時間ならほぼいつでも保健室いるから!当番じゃない日なら、別室に顔出すこともできるし!」
「なっ…何で?」
「分かんない。どうして俺が、こんなに関わりたいって思ってるのか」
正直にそう言うと、彼女はビックリしたような表情を見せた。
「ただ、学校を嫌いになってほしくない。好きになれとか、教室戻れとか、そんなこと俺は言わないけど、大っ嫌いなまま卒業するなんて勿体ないよ…」
これは完全に、俺の気持ちの押し付けだ。
分かってるけど…。
こうとでも言っておかないと、関わりたい理由が上手く説明できない。
「え…」
「あぐりちゃんが学校を…少しでも行くのが楽しみになる存在に、俺がなれないかな」
俺の言葉に何か返してもらう前に、チャイムが鳴りそうだったため教室に戻ることになってしまった。



