「あ、急にいっぱい話しかけちゃってごめんね!どこか体調悪いとかだったら、俺ただの迷惑な奴じゃん」
「だっ…大丈夫です」
まあ…話変えよう。
そういや、佐野先生や彼女の担任は、彼女が今ここにいることは知ってるんだろうか?
「担任の先生とか佐野先生は、齋藤さんがここ来てるの知ってるの?」
「察してはいると思います…」
「じゃ、知らないんじゃん!」
つい男子ノリと同じように声を上げてしまった。だけど、思ったよりそれには驚かなかったようだ。
「今来たから…」
「集会始まって、途中から入る嫌だもんねー」
気持ちは凄い分かる。
そもそも、集会に出ようなんて思わないけど。
「まあ、そろそろ始業式終わる頃だし待ってなよ」
「…はい」
んー、俺が頑張って話しかけることもなかったのかもしれない。
また読書に戻るけど、数分で廊下に騒がしさが戻ってきた。
俺もそろそろ教室行かなきゃな。
軽く挨拶しようかと思い、齋藤さんの方に振り向く。
すると彼女は、つらそうな顔をして、力いっぱい腕の辺りをギュウっと握っていた。
どこか顔色も悪いように見える。
「大丈夫…?」
そう問いかけるも、耳に入ってないらしく、何も反応してくれなかった。



