「俺と付き合ってくれる?」
「うん」
「さっきハンカチ近付けたの、単に涙拭おうかなっていうだけだからね?」
「あ…なんだ…」
そういうことだったのか。
彼は私の腰に左腕を回したまま、右手で私の涙を拭ってくれる。
「今度は拭けた」
そう言って、優しく微笑んでくれる。
「今度は?」
「俺に嫌い嫌い言いながら、泣いてたから」
「なっ…」
「雨に濡れて誤魔化せてたとでも?」
何だか恥ずかしくなって、俯いた。
すると彼は頭を優しく撫でてくる。
「あの時は離しちゃったけどさ…今度こそ、離さないから」
「離れません」
またこうやって会えて、好きだって言ってくれたんだから。
「ねえ先輩?」
「ん?」
「これで、会うのは最後ですか?」
「えっ、んなわけ!」
「さっき、もう会わないって言ってたじゃないですか」
「…何、ちょっと意地悪言いたくなったの?」
「私は会いたいです」
そう言ってみた。
正直になりたいって思った。
「もう…理性吹き飛びそうって言ったのに」
「へへっ」
「ずっと会えなかった分を埋めるくらい、いや…それ以上、いっぱい会おうね」
先輩は優しく微笑んで、甘優しい声でそう伝えてくれる。
「はい!」
「ふふっ…やっと笑ってくれた」
先輩の前で、また笑える日が来るなんて。
嬉しい。
「次会う時は、カーディガン持って来てね?」
「カーディ…あっ」
「忘れてたじゃん」
「洗ってはあります!」



