「あぐり…ちゃん…?」
私は、彼の胸に頭を当てた。
「先輩のこと、嫌いになんかなれるわけないじゃないですか…!」
「え…?」
「あの時は、嫌いって言ってごめんなさい」
「うん…」
「どうしても、嫌いになれなくって…ずっと好きでいて、ごめんなさいっ…」
「そこは謝らないでほしいんだけど?」
そう言って、彼は少し笑った。
「先輩のこと、好きです…!」
言っちゃった…。
少しの沈黙の後、
「分かった」
と呟いた。
すると、彼は私の目元にハンカチを当てようとしてきた。
えっ、何でっ?
私は空いていた左手でそれを抑えた。
「おおっ、何?」
先輩がビックリしたような反応を見せた。
「ハンカチ使ったら、付き合えなくなっちゃう」
「え…?」
「私、先輩の彼女になるもんっ…」
ここまで来たら図々しくなる。
先輩と、付き合いたい。
ちゃんと想い伝え合いたい。
だけど、先輩は何も答えてくれない。
「先輩…?」
「ああもう…」
少し見上げると、彼は頬を赤くしていた。
「俺の理性吹っ飛ばす気?」
なんて、爆弾発言を投げかけてくる。
「手握られて、胸に頭預けられて…。
挙句の果てには、先輩の彼女になりたいって。
健全な男の子が、それに理性揺らがないわけないんだけどな?」
理性、揺らぐ…?
疑問に思っていると、私の手を離して、ギュッと抱き締めてきた。
「せっ…先輩…?」
「今日は、これで我慢しておく」
とか、意味深な言葉を発する。
よく分からないけど、私も彼に腕を回した。



