翌週。
さくらに行く気は生まれたものの、学校に行けない。別室に行くだけなのに。
きっと井口さんは、鈴木先輩に言っただろう。
私に、鈴木先輩に近付くなって言ったよって。
だったら、もう休み時間に別室に来てくれはしないだろう。
だけど、井口さんが先輩には黙っているんだとしたら。
煩わしいと思いながらも来るだろう。
変わらずベッドで燻っていると、固定電話が鳴る。きっと学校からだ。来なさいという催促の電話に違いない。
出たくない。お母さんも、出ないでよ。
なんて想いは届かず、お母さんが電話に出た声が聞こえてくる。
しばらくして、部屋の方にやってくる足音がする。
「嶺野先生が、あんたに話があるって」
「代わらない」
「待たせてるの!早く!」
「出ない…!」
「…もーう」
お母さんの苛立った調子が、ひしひしと伝わってくる。
それから3分くらいして、電話を切った音が聞こえた。ひどく私の耳は敏感だ。
「ねえ。明日にでも来なさいって」
「行きたくない」
「あんたさ、夏休み明け最初の日に、何も言わずに帰ってきたんでしょ。それで電話来ても出なかったじゃない。何かあったの?」
「何も無い!」
何も無いなんて、嘘だけど。



