「あー、うっせーな。…でも、名前が本人を表すってホントだね」
思ったより、心にグサリと刺さる。
「界也くんも言ってたよ。後輩に変に懐かれて、面倒だって。
…ねえ。次近付いたら、覚えておけよ?」
と言って、第2音楽室を後にしてしまう。
ほんの2分もないくらいの時間だった。
それなのに…。
とてつもなく長く苦痛な時間だった。
鈴木先輩が、井口さんの彼氏…?
信じたくない。
彼女が鈴木先輩を好きなのは、分かる。
だけど…本当に付き合ってる?
ハッタリをかましただけかもしれない。
だけど、あんなにハッキリ言っていた。
だからだ。
どうしても、嘘だって思えなかったのは。
帰ろう。彼に会う前に。
スクールバッグに全部詰めて、第2音楽室を後にする。昼休み真っ只中なのを忘れていた。
だけど、そんなこと気にする気もしないくらい、早く学校を後にしたかった。
保健室で、帰るって言わないと。
…そう思ったけど、絶対に鈴木先輩がいる保健室に、足を踏み入れられなかった。
すみません、帰ります。ごめんなさい。
心の中でそう呟いて、学校を後にした。
もう、先輩には会わない。



