イケメン先輩に免疫が無いだけです!

あと、校内にいるっていう事実が、喉を締めつけてるんです!


「担任の先生とか佐野先生は、齋藤さんがここ来てるの知ってるの?」

「察してはいると思います…」

「じゃ、知らないんじゃん!」


しっかりツッコまれてしまう。

佐野先生ってのは保健の先生だ。


「今来たから…」

「集会始まって、途中から入るの嫌だもんねー」


私は頷いた。


「まあ、そろそろ始業式終わる頃だし待ってなよ」

「…はい」


彼がそう言ってから2分もすれば、廊下からガヤガヤした声が聴こえる。

ほぼ反射的に、喉の奥が詰まる感覚がする。
そして、座ってるからまだマシとはいえ、足が竦むような感覚もする。

そんな不安感を落ち着けようと、ブレザーの袖をギューっと握る。


「大丈夫…?」


少し落ち着きのなくなった私に、違和感を覚えたらしい。だけど答える余裕もなく、静かに耐える他なかった。

約2週間ぶりの外、それも中学校。
いつも以上にしんどい気持ちでいっぱいだった。

その時ドアが開いて、一瞬だけ、より音が入ってくる。


「あぐりさん、来てたんですね」


ふっと顔を上げると、佐野先生がいた。
相変わらずクールな態度だ。