今日も君と話したい



「今年の夏休みだって、あぐりちゃんとしか会う約束してなかったし」

「受験生なんだから、そりゃ…」

「うん、まあそうなんだけど。
ちゃんと勉強したい子多いだろうし」


受験生だからっていう理由だけじゃないように見えた。


「そもそも、俺から誘うこと自体少ないよ」

「慣れたようにサラッと誘ってくれたように見えましたけど」

「全然!
…あれでも、結構緊張してたっていうか」

「何でっ」


後輩女子、何なら自分のこと好いてる女子相手なのに?…まあ、恋愛的な好意には気付いてないかもだけど。


「午前中から活動的に動くの難しいから。
朝どうっしても動けなくて、ドタキャンする可能性も無きにしも非ずだし。
誘われた時は、ちょっと頑張って行ってたから、本当にドタキャンしたことはないけどね」


一呼吸置いてから、また続ける。


「でもあぐりちゃんは、お昼くらいからでもいいって言ってくれた」


まあそれは…。
ん?いや、おかしいな。


「どこ行くとか、何時集合とか、そういうの決めたのって、夏休み入ってからだから…理由としておかしくないですか?」


そう言うと、若干伏目がちに


「あぐりちゃんと会えるなら、朝ちょっと無理してでも動けると思えたから」


と、言った。


…そんなこと言われたら、美唯が言ったあの台詞を、信じたくなっちゃうじゃん。

“両想い確定”だって。