そんな会話をしていると、入場可能な時刻になる。
席に着いて、飲み物をホルダーに入れる。
「先輩、トイレ行ってきますね」
「分かった。荷物見てるね」
ハンカチだけ持ってトイレに行く。
正直、今日のリュックは小さいから、持って行っても別に邪魔ではなかったんだけどね。
以前、トイレに行かずに映画館入って、2時間くらい我慢して、内容が全く入ってこなかったことがある。
まあ、トイレ行くようになるよねっ。
席に戻ると、
「じゃあ次俺ね」
と言って、荷物番交代となった。
彼はボディポーチだったため、飲み物見てるくらいしかなかったが…。
戻ってきて、私の右側に座る。
なんだかんだ、私を端の席にしてくれている。
少しすると、今度放映する映画の宣伝や、色んな注意喚起をする映像が流れてから、本編が始まる。
今回観るのは、太陽と木漏れ日という純愛小説が元になった映画。
主人公の元気で明るい人気者の女の子が、突然余命宣告を受ける。
それでもめげずに生きていき、友情と恋愛で泣いて笑って過ごしていく。
みたいな話。
私の説明じゃ、魅力8割減してるけど。
しばらくして、ちょっと寒くなってきた。
あー、上着忘れたなぁ…。
先輩と出かけられるからって、浮かれた結果、映画館が冷房効いてて寒いなんてことは忘れていた。
反射的に二の腕をさすっていると、先輩がホワッとカーディガンを膝の上に掛けてきた。
そういえば、腰に巻いていた。
私より準備良いですね…。
声を出せない環境だから、会釈だけして羽織った。
なんだか先輩に包まれてるみたい…。
なんて、変なことを思ったりして。



