「俺、3年の鈴木界也。君は?」


椅子に座っていた先輩…鈴木先輩が突然名乗ってきた。

えっ?!急に話しかけてきたー!?


「えっと…2年の、齋藤あぐりです」

「齋藤さんね。よろしく」


私の知ってる中学生男子じゃない。

優しい声。
優しい話し方。
優しい表情。
優しい雰囲気。

少しだけ緊張が薄れた気がする。

だけど、顔は見れない。


「俺、保健委員長なんだ。
自分自身も体調優れないこと多くてさ。だから、集会の時なんかは保健室にいる」

「そ…そうなんですか」

「俺の記憶違いだったらごめんだけど、去年も時々来てたよね?」


そんな…私のこと覚えてるとかありえる…?

確かに、今日みたいに半ば無理矢理出てきて、プリントとか貰いに保健室来ることはあったけど。


「…たまに、来てました」

「あ、やっぱりそうなんだ!休み時間に当番で来てた時、見かけたもん」


彼は嬉しそうにそう言ってくれた。

私のことなんざ覚えていたって、何のあれもないのに。


「…あ、急にいっぱい話しかけちゃってごめんね!どこか体調悪いとかだったら、俺ただの迷惑な奴じゃん」

「だっ…大丈夫です」