夏休みに入る。
でも、さくら学級には何度か行くことになっている。まあ行くのが苦な所じゃないから、いいんだけど。
ついでに言えば、中学校が再開する9月1日より1週間くらい先に始まる。
「あぐり、おはよー!しっかし暑いね」
「あ、美唯。おはよう」
さくら学級の前で、女の子が声をかけてくる。
同級生の女の子、浜辺美唯。
7月の頭に通級し始めたばかりだ。
初めて顔を合わせた日は、あまりに可愛過ぎる見た目に思わず、どっかのアイドルかと本気で思ったくらいだ。
だけど、そんな可愛さを鼻にかけることなく、気取らず面白い。
さくら学級の同級生の中で唯一の女子ということもあってか、彼女と仲良くなるのは容易いことだった。
どうしてこんな可愛い子が、さくら学級にいるのか…分からないけど、こういう子は男女関係無くよくいる。
勿論、人間不信のようで、授業だけ軽く受けてすぐ帰っちゃう子もいるけれど、ここに通う生徒の8割くらいは明るくてよく話す子だ。
そして、何かしらツラい経験をしてる子がほとんどだから、痛みを知る、根は優しい子ばかりだ。
「今日の休み時間、何する?」
「何しよっか。けど今日の午前、私とあぐりしかいないって聞いたよ」
「マジか、少なっ」
そんな話をしながら入る。