そして、体育館は途中から入るもんじゃない。
視線が集まる。耐えられない。
「はあぁぁ…」
と、大きく溜め息をついてしまう。
いいや、とりあえず保健室だ。
「失礼しま…」
入ると、椅子に座って読書する男子生徒がいる。身長は私より高いけど、割と細身で、お顔がイケメンの部類だ。
「えっ…」
「大丈夫大丈夫!入っていいんだよ?」
私が思わずドアを閉めようとすると、彼は優しい声でそう言ってくれた。
「じゃ…えと…失礼します…」
さっきまで心の中で、文句という名の毒を吐いてたとは思えないほど、コミュ障発動。
「どこか体調悪くて来たの?先生一緒じゃないから、体育館から来たわけじゃなさそうだね」
「えっと…あの…」
久しぶりに来た不登校、そんなこと言いづらかった。
ましてや、イケメンさんに対して言うなんて!といった、謎のプライドが発揮した。
情けない所なんて見せたくない。
「しばらく保健室で休む?」
「…はい」
「ほら、おいで」
ドアの前で固まっていた私を、笑顔で招き入れてくれる。
ソファに腰掛け、それでも尚動きが固まる。
…なっ、何で、イケメンと保健室に2人きりなんだっ…?突然の事態すぎる。



