「そういや、家の方向一緒っぽいね」
「あ、確かに」
「俺、HRサボっちゃおうかなー」
「えっ?」
「体調優れないので、テスト終わったらそのまま帰りますって言って、あぐりちゃんと帰る」
本気で言ってるのか、おふざけモードなのか…
よく分からない。
「あ、でもあぐりちゃんは、界也なんざ知らんぜよって顔しながら先に出るんだよ?別室の人達が一緒に帰るのって、本当は原則禁止だから」
「ですよね」
前に、一緒に帰ろーって話してる別室の先輩達が、佐野先生に怒られてる所を見かけたことがある。
「最初の曲がり角辺りで待っててくれる?」
「うん、分かった」
…あ。
「分かりました」
「あぐりちゃん、たまにタメ語と丁寧語混ざるよね。タメ語でいいのに」
「一応先輩だから…」
「一応!」
鈴木先輩は、楽しげに声を上げて笑う。
学校に着いて、たまたまそこで会っただけ、みたいな設定にしておく。
佐野先生に会議室に連れて行かれる。
それぞれ離れた席に座るけど、机や空間を隔てた真正面に先輩が座る。
わー、なんか嬉しい!
恋するって、こういう些細なことでも嬉しくなれる。幸せだ。



