「あぐりちゃんも数学得意なんじゃ、俺そんなに活躍できないじゃん」
「何で?」
「あぐりちゃん、ここはこの公式当てはめて計算するんだよ。…とか言って、先輩面できないじゃん」
教えてる演技の所は、いつもより少しイケボで言ってきた。
「私だって、分からない所くらいありますよ」
「どうせ教科書読んだらすぐ解いちゃうくせにー」
「…うーん。あまり教科書読まないです」
「え?」
「ワークやりながら、ページの最初に書いてある説明をサクッと読みながら進めてます」
教科書読んでもよく分からないし。
「塾とか行ってるの?」
「向いてないなーって思って、全く行ってないです」
「ああ…多分、要領がいいんだろうね。この受験生に分けてほしい」
受験生…?
「あ、先輩は3年生でしたね」
「あ、じゃないよ!えー、俺そんなに年上感無い?」
「そんなことないです」
そうか、自分も来年は受験生だ。
そんなことをふと思った。
そんなこんなで、4月が終わった。