「何言われても、絶対に戻りませんから」
これだけは、自分の中でも明確だった。
「じゃあ…毎日同じ時間帯に、保健室で顔出してから別室ね」
そう言って、嶺野先生も横にいた佐野先生も、あからさまに残念そうな顔をする。
去年もそうだった。あの時の担任も、別室ですか…って顔して。
「5月になったら、さくら学級の申請もできるようになるから、親御さんとも話し合ってね」
4月は頑張って教室復帰させるチャンスを与えるために、あえて通級できないようにしているらしい。
…また話さなきゃいけないのか、親に。
また、あんな感じで、同じことを何度も何度も言われるのかな…。
「それと、髪型。うちの校則分かってる?髪は肩より上にするか、長いなら結ばないといけないの」
確かに、私は髪を下ろしている。
家ではポニーテールにすることはある。
だけど、首を丸出しにする、どこか無防備な状態になるのが嫌だった。
ただでさえ様々な感覚が敏感になる、この“中学校”という場で、余計なストレスは作りたくない。
「…結びたく、ありません」
そう答えれば、嶺野先生は軽く顔を顰める。
手のかかる面倒な生徒…。
言いたければ言えばいい。
「…少しずつ、髪結べるようにしましょうね」
他に言いたいことはあるんだろう。
何かを噛み潰すかのように言った。
ハッキリと何か言っても、全部拒否されるのは目に見えてるから、遠回しに言おう。
そういうことか。



