「じゃあ、今年度も保健室や別室通い?」
「…そんなに、教室行かせたいですか」
「そりゃそうよ」
嶺野先生もハッキリ言うな…。
「絶対、行かないですから」
「去年何かあったの?何でも聞くよ」
「別に何も無いです」
「何か無きゃ、そんなに教室に拒否感示さないでしょ」
「無いです」
本当に何も無いんだから、話すも何も無い。
ただ何となく、居心地が悪いだけなんだ。
「そうは言ってもね…」
「…何が言いたいんですか」
「何かあったとかならまだしも、そういうんじゃないって言われると、担任としては教室行ってほしいけど」
「だからっ…」
先生達は、何言っても分かってくれない。
何なら自分でもよく分からないのだから、伝えようがないんだけど。
でも、仮に自分でも理解できたとて、先生に相談したいだなんて思わない。
「齋藤さんだって分かってるでしょ。今まで何度も言われてきただろうし。
内申点は、授業出ないとつかないの。
いくらテストで良い点取っても、せいぜい3が最高だったでしょ」
確かに、80点90点取っていた数学や英語ですら、評定3だったけど。
「何も、意地悪したいわけじゃないの。齋藤さんのためを思って言ってるの」
まただ。親も先生も、どの大人も。
うるさい、うるさい、うるさい…。
耳を塞いで、走って逃げたくなる。



