こういう男子が、1番美桜菜のことが好き。
だから、私に毎朝挨拶して、感じのいい男を演出してるんだ。

と、毎朝挨拶される度に毒づく。

ちなみに帰りもだ。HRが終わると、真っ先に私の方を向いて、また明日!だとか、おつかれさま!だとか、声をかけてくる。その度また毒づく。美桜菜への印象作りご苦労様と。

何故か席替えしても毎回隣の席で、何か不正してるのではないかと思う反面、そこまでして私に挨拶したところで、美桜菜への好印象って上がるか?とも思ったり思わなかったり。


その日のHR終わり。
また明日!か、おつかれさま!を構えていた。

しかし言ってこない。

代わりに


「山下さん。話、いいかな」


と、落ち着いた声で、話しかけてきた。


「話って?」

「まあ、折りいった話だよ。ついてきて」


スクールバッグを肩にかけた羽柴に、校舎裏へ連れて行かれる。

私もリュック持ってくれば良かった。そのまま帰れたのに。11月も下旬、寒いから早く帰りたい。


「あの、話って、用って何?」


彼は振り返る。


「山下さん、付き合ってほしいです!」

「ああ…」


あれっ。何で告白されてるんだ?