「羽柴!」


2人の視線がこちらに向く。


「美桜菜ごめん、羽柴のこと渡したくない」


渡すとか、渡したくないとか、そういう問題じゃないけど。


「羽柴、私…やっぱ羽柴のことが好き…!」

「山下さん…?」

「羽柴が、美桜菜とか他の子に取られるの嫌だ!絶対嫌だ!」


暫し沈黙が訪れる。やめてよ、黙らないでよ。

すると、美桜菜が拍手をしだす。


「よくできました」


そして、私の頭を撫でてくる。

訳が分からない。


「あとは、両想い同士、やってくださいな」

「美桜菜?」


美桜菜はニコリとして、校内に戻ってしまった。

どういうことかさっぱり理解できない。


「山下さん。告白、本気にしていい?」


そうだっ…なんかこっ恥ずかしいこと叫んでしまったんだった…。


「やっぱ無しで…」

「そうじゃないでしょ?」

「…うん」


羽柴はしゃがみこんだ。


「はあ……長かったぁ」

「へ?」

「4月からずっと好きなのに、年明けだよもう…」

「そんな前から?」

「そうだよ。告白してからも、無視はされるし冷たいし。心折れるかと思ったし半ば折れてたし」

「ごめん」

「八女さんに、協力してもらったら速かったけど」


さっきの演技か。