週明け、美桜菜が復帰する。


「インフル大丈夫だった?」

「しんどかったー。浬沙にも会えないしー」

「そこ?熱とかじゃなく?」

「熱もしんどかったよ」


熱も、って何よ。幼馴染冥利には尽きるけど。


「まだ羽柴くん来てないから言うけどさ」

「なに?急に」


美桜菜から羽柴の話を振るのは珍しい。


「休んでる間、考えてたんだよ。羽柴くんのこと、私好きかも」

「えっ!」


つい声が大きくなる。いや、私の羽柴ではないし、別に美桜菜の勝手だけど…単に、2次元大好きな美桜菜が、現実の男に興味をもったことに驚いただけだし。


「だってさ、イケメンだし、なんだかんだスポーツも勉強もできて器用だし、性格いいし、恋愛面においても一途でめっちゃ良くない?」

「…まあ、そうか?」

「良い彼氏になりそうだなって!」

「まあ…そうか?」

「まあそうか、しか言ってないよ?」

「うん…」


なんなんだろう、この胸のざわめきは。


「浬沙、別に好きじゃないんでしょ?だったら…」


そこに、


「おはよ」

「おはよー!羽柴くんっ」

「八女さんおはよ、元気になった?」


張本人が来て、美桜菜がアタックし始めた。

何でだろう、見たくない。

美桜菜の応援が、できない…。

なんで…?