そこに、近くにいた女子3人が来る。


「最近、瞬汰と山下さん、よく一緒にいるよね」

「そうだけど、どした?」

「付き合ってるの?」


やめてくれ。違うと否定しようとした。


「違うよ、俺の片想い」


羽柴はどこか寂しげに微笑んでそう言った。

どうしてだろう。心がズキンと痛んだ。


「えー、傍から見たら両想いだよ?」

「実際はどうなの、山下さん」


こっちに飛び火した。

羽柴もこっちを見てくる。珍しく真面目な顔をして。


「シュレディンガーの恋、ってことで!」

「へ?」

「ほら、羽柴帰るよー」

「あ、ちょっと帰らないよ」


私は答えを出すことから逃げた。
答えを出すのは怖かった。


ゲームセンターに着くと、1番目立つ所に、私の大好きなキャラクターのぬいぐるみのクレーンゲームがあった。


「やっば!新作じゃん!!」


早速やろうとすると、羽柴に手で制止される。


「俺やるから見てて」


クールな面持ちで、やり始める。

数回で落としてしまう。正直びっくりだ。