翌朝。


「おはよ、山下さん」


私より後に来た、羽柴がいつも通り声をかけてくる。

無視無視。

すると、荷物を置いてマフラーを外して、しゃがんで私の机に腕を乗せてくる。


「今日は天気良くて空気澄んでるけど、寒いね」

「?!?!」


世間話を振ってきた。さすがにびっくりして、目を合わせてしまった。


「あは、目合った。おはよ」


その嬉しそうな笑顔が輝いていて、悔しくて左斜め下を向いた。


「ダメかぁ…」


翌朝。まだ羽柴は来ていない。

どんな攻撃型で来ても動じない。

と思っていると、肩を急にどんっと押される。


「ぎゃっ!」

「おはよ!山下さん」

「んー…」


動じてしまった…。


「作戦成功ー!」


軽く隣の席を見上げると、楽しそうに笑う羽柴。

ムカつく…。


「そんなむっとしないでよ、ごめんって」


毎朝毎朝、気付いたら今度はどんな風に来るだろうって考えてしまってる自分がいた。

何でだよ、羽柴のこと好きみたいじゃん…。

違う、違う。私のことからかってるだけ。

たまに美桜菜と仲良く話してるのを見かける。

私には朝と帰りにしか話しかけないくせに。

…くせに?あたかも話しかけてほしいみたいな言い草だな、違うし。