学校に着くと、いつも通り過ごしていた。

でもなんとなく、姫莉が気になっていた。

そんなちょろい人間じゃないぞ、俺は。
ちょっと可愛いからって簡単に好きになるほど軽い男じゃない。


「何むっつりしてんの、駿」

「びっっくりした、なんだよ岡部」

「お前こそなんだよ、難しい顔してぼけーっとして」

「そんなことねーよ」


昼休み、廊下から外を眺めていた。

すると、見覚えある顔と見覚えない表情が見えた。


「は…?」


1周回って笑ってしまった。
顔立ちの良い男と、もー!なんてボディタッチをして、笑顔で話しながら歩く姫莉。

…んだよ、彼氏いるのかよ。

彼氏いるのに、あの寮いるのまずくねーか?

俺のことは拒むくせに、意外とただの遊び人かよ…。


帰宅して、何もやる気が起きない。

これだから嫌だったんだこの寮は。女は。

どかっと雑にソファに腰掛ける。


「はあっ…」


クソデカ溜め息をついていると、ガチャっと鍵が開く。


「あっ…ただいま」

「おかえり」


目を背けて、素っ気なく返す。…いや、ガキかよ俺。
てかなんで、こんな嫌だと思ってるんだ?
昨日出会ったばかりなのに。