食べ終わると、俺は皿洗いをしようとキッチンに立つ。


「お皿洗いくらいなら、私しますよ」

「いやいいよ、今日初日じゃん。ゆっくりしてなって」

「…お言葉に甘えて」


彼女は大人しくソファに座った。


夜も更けてきた頃。姫莉は眠たげに目を細めていた。
ただまあ、問題は。

この部屋にはダブルベッドがひとつあるだけ。
ソファも1人がけだから、寝れるわけがない。

頭のおかしい寮を設立した奴らは、高校生が健全だと思っているのだろうか。俺みたいなのばかりじゃないぞ。


「姫莉。眠たいんじゃないの」

「…え?」


反応が鈍い。


「一緒に寝るぞ」

「…ソファで大丈夫です」

「いや、寝れるわけないだろ」


そう言うと、酔い潰れて電車で爆睡するサラリーマンみたいな体勢を取る。


「バカ、身体壊すぞ。いいから来いって」

「…嫌」


手出すと思われてるのか。


「…別に、誰彼構わず手出さねーよ」


そう言って、床に座る姫莉に手を伸ばす。


「ほら、来て」

「怖い…」


姫莉の目から涙が零れる。

え、泣かせた?

しゃがんで、目線を合わせる。