彼女は片付けをして、なんとなく落ち着かない様子でいた。

男慣れしてないんだな、多分。


「シャワーでも、浴びてきたら」

「えっ」


びっくりされるようなことでも言ったか?
思考を巡らせるが、特に思い当たる節がない。


「いや…はい、お言葉に甘えて」


と、そそくさと風呂場へ向かった。

気を遣うな。少し面倒くさい。

でもまあ、可愛らしい子なのが救いか。

そんくらいに思っていた。


20分程が経ち、風呂から上がってきた彼女は、なんだか少し色っぽく感じた。

いや、風呂上がりの同年代の女子に慣れていないだけだ。何色っぽいとか思ってんだ俺は。


「俺も入るから、テレビ観るなりなんなり好きにしてな」

「あぁ…はい」


15分程でシャワーを浴びて、リビングに戻ると。
1人がけのソファに腰掛けて、ぼんやりとする彼女がいる。


「緊張してる?」


彼女は、声をかけられると思っていなかったらしく、軽くビクッとした。


「そんな怯えなくていいよ。俺別に何もしないから」


そう言うと、保護されたての猫みたいな瞳から、少し緊張が和らいだような気がした。


「髪乾かしたら?風邪引くぞ」


彼女はこくんと頷いた。

ドライヤーをすると、サラサラのストレートヘアーで戻ってくる。