少し不満げな顔だったけど、まあスルーしておこう。

しばらく何の音沙汰も無かった。そして、あのいじめっ娘達は、指導が入ったらしい。

ただ姫莉は風邪を引いた。ストレスもあったんだろう。
喉の痛み、発熱でしんどそうにしていた。


「熱いくつ?」

「37.9℃」

「俺休むよ、看病するって」

「いい」

「良くない」

「横になってたら治るって…大袈裟な」

「いいから、言うこと聞いて」


俺は傍で見守っていたかった。
誰が敵だろうと、俺だけは味方だから。
あのいじめの件の時、心に誓ったんだ。


夜。ソファに座って、寝る様子がない姫莉。


「こら、早く寝ないとだめだろ」

「昼間寝過ぎて眠れない…」


そういうことか。

俺は彼女の手首を掴んで、ベッドに連れて行く。横にならせて、俺も真横で横になる。優しく頬に触れる。


「何…?」

「熱だいぶ下がったな」

「あ…うん。楽になった」

「何されると思ったの?」

「いや、別に」


何か誤魔化してるようだけど。まあいいや。

肩のあたりをポンポンと叩く。


「落ち着く?」

「ん…」


数分やっていると、寝息を立てる。俺も眠くなってくる。