最後に、体育館でやる軽音部のバンド発表を見に行く。
かなり人が集まっている。
「ここからなら見えるんじゃない?」
人の隙間から涼くんが見せてくれる。
高校生のクオリティとは思えないくらい、とても上手い演奏だった。
最近流行りのロックを演奏していて、体育館は大盛り上がり。私も涼くんもテンションが上がる。
演奏が終わり、体育館を後にしていると。
ん…なんか体がおかしい…。
ふらふらする…?だんだん目の前がチカチカしだす。
「ん?琴葉?」
立っていられなくなった。人酔いしたかな?
そういや、水分摂ってなかったかも…。
涼くんに倒れ込む。
「琴葉、大丈夫?」
私を抱え込むようにして、廊下の端に寄る。
目の前が白くなって、前が全く見えない。
貧血だ…。
その場にへたり込む。
「貧血っぽい…」
「とりあえず、保健室行こ?」
「歩けそうにない…」
「そっか、分かった」
涼くんにお姫様抱っこされる。
「どこだー、保健室…」
在校生じゃないと分かりにくい場所にあるし、口頭で説明しにくい。それに、今は話せる余裕もない。
そう思っていると、ふわっと身体が一瞬宙に浮く。体調のせいじゃなくて、物理的に。
気付けば茜部先輩の腕の中に収まっていた。



